チューナーで合わせた音は不完全?わかりやすく純正律と平均律の違いを説明してみた。
なんでピアノの調律師って、てっとり早くチューナーで合せないの?
純正律と平均律って聞くけど、違いってなに?
そんな疑問をダラダラつぶやき解決です!
まず、チューナーで合わせる=平均律で合わせる
であり、現在の一般的な調律で、おそらく皆様が日頃扱ったり聴いているのは平均律です。
では純正律について。
“音の高さ=空気の振動の細かさ”
であり、美しいと感じたその空気の振動の細かさを数字であらわした人がいました。
古代ギリシャの数学者ピュタゴラスです。
三角形の和の合計を発見したり、三平方の定理を発見したり、今はNHKでスイッチを開発している人です。
ピュタゴラスは何でも数字で表していたみたいなので、「あとどれぐらい飲んだら二日酔いになるか」を数値で表せるアプリを開発できませんでしょうか。
あれ?今ピュタゴラスって生きてるっけ?
さて、そのピュタゴラスが美しく響く音の数比を発見し、その数比をもとに整理されたドレミファソラシドの各音程が純正律です。ざっくり言うと。
つまり、数学的に濁りなく合っている音とお考えください。
ピュタゴラスって名前からして数字がピタッと合っているでしょう!(ドヤァ)
さて、きれいに響くといえばドミソのハーモニー。
これを例に純正律を解説します。
このドミソですが、見た目はきれいに均等に並んだお団子ですが、
ピアノの鍵盤で見てみると
ド-ミの間が広くなっています。
そして細かい説明は省略しますが、真ん中のミを少し下げてあげると純正律の綺麗なドミソの響きがします。
「だったらピアノもギターも綺麗な純正律でいいじゃん」
いえ、問題があるのです。
下げた真ん中のミを-1とします。
(本来用いる振動数の単位Hzや数比での説明は避けます)
しかし、曲に出てくるのはドミソだけではありません。
Cのコードと呼ばれる上の和音を、Eのコードにしてみましょう。
ミの音は-1の調律の調律にしていますので、純正律にするには他の音も下げて、且つドミソと同様に真ん中のソ#を下げます。
ばばーん!
どんどん低い調律になってきました。
さらに、-2のソ#(ラ♭)から同様に和音を作ると……
ばばばーん!!
あれ?もともとは±ゼロだったドの音が、それぞれ綺麗になるよう合わせてたらマイナス3になっている。
同じドなのに違う音程…
「うちの旦那は昔はこんな人じゃなかった」状態ですよ。
そうなんです。純正律に合わせる場合、
ドミソ用の“ド”の音、ラ♭ドミ♭用の“ド”の音、など、微妙に音程の違ったドの音を複数用意しなければいけません。ドだけでなく他の音も。
なので、鍵盤がすごくたくさん用意されたピアノ、フレットが凄く細かく打ち込まれているギターが必要です。
面倒でしょうに演奏困難でしょうに
実際に作られてはいるのですが、一般的には使用されず。むしろネタ的楽器に。
だから、「少しの響きの濁りは許容範囲!何の音同士でもだいたい合うこのへんが落としどころでしょ」って作られたのが平均律(12平均律)
なので、チューナーで合わせた楽器は最も美しい和音ではないのです。合唱のハーモニーがこの世で最も美しい理由のひとうでもあると思います。
チューナーやメトロノームを神様みたいに思っている生徒さんもいますが、僕は機械の目盛りが指すものよりも、人間が美しいと感じるものの方が美しいと思います。
チューニングの時間=チューナーを眺める時間ではなく、ピアノ調律師さんもプロのギタリストも、音の違和感を耳で感じ取る、楽器・弦の状態を感じ取る時間ではないでしょうか。
オーケストラも、オーボエの「ペーーー」の基準から耳で各奏者の確認が始まります。
まとめると、
・純正律ー数学的に綺麗に響く各音程。
・平均律ー純正律に楽器を合わせるのは困難なので、およそ綺麗に響くようにした各音程。
と言えるでしょうか。
以上!「チューナーで合わせた音は不完全?わかりやすく純正律と平均律の違いを説明してみた。」でした!
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